元ネタ→http://hamusoku.com/archives/3887166.html
(線画は自分ではありません)
線画一枚 塗り一枚 所要時間15分
よーしもう一度書いちゃうぞ、と。
12/31 金曜日 東地区”ミ”ブロック-22b (東5ホール)
「SIGN WORKS -LE-」
です。
この時間にこんな場所見てる人いないかもしれないけれど。ヘヘヘ。
一応絵師なので塗りについて思うことをつらつらと。
構図とか解剖学は知らん。
必要かどうかはわからないのですが、
同人ゲームが作りたいけれど、いろはにほへとがわからないという
ような人向けに、気がついたことをメモしておこうかと思います。
こういうものは探せば結構出てくるものかもしれませんが、
まあせっかくなのでわしもやってみようかと。
詳しい作業工程は、まあ人それぞれなんで、どっちかというと
精神論とか、心がけ、みたいなところに重点を置きながら
書いてみようと思います。
PCで塗り始めてだいたい5年目くらいだと思うのですが、
最初の頃は立体も意識せずにただ好きな絵師さんの物真似を
ひたすらに繰り返したような記憶があります。
基本的にどこかで美術の勉強をしたわけでも
デッサンの本を買ったこともないような人間(未だに!)なので
我流も我流なのですが・・・。
ただ、最近大まかにギャルゲ塗(エロゲ塗?)の骨子みたいなものは
なんとなくわかってきたところもあるのでちょっと語りたいと思います。
ゲームCGというのは、基本的に複数人が作業に関わるものなので、
誰が塗っても同等の塗りが可能であること。
また、CGの枚数というものはやはり必要なので、
簡単に塗ることができること。
もちろんCGとしての綺麗さは言うまでもないことですが、
塗りという点を考えるなら、
この二点は最低限押さえておかなければいけない点ではあるように思います。
で、具体的にどうするかというと。
アニメ塗りです。
これはもう言うまでもなく、複数人が共有でき、かつ速い、
こすとパフォーマンスの高い塗りなわけです。
アニメというのはものすごい枚数のCG彩色が必要ですから。
(一度OPのトレス動画を作ろうと思いたつも、その枚数に挫折した私w)
で、アニメ塗りと言いますと
一素材に対し、ベース色、影1、影2,そしてハイライトの4色で
構成されるのが一般的です。
現実的に物体には色の境目なんてありませんし、
所詮は脳に伝わる波長でしかないわけですから、
これは全然「正しくない」のですが、
これが意外とそれっぽく見えるものなのですね。脳って便利。
ただ、上手く塗れる人とそうでない人の差と言うと、
まず、色の変わる継ぎ目、一般に影指定と言われるアレが出来るかどうか。
(アニメの原画で、水色や赤の色鉛筆でライン取りされている場所です)
そして、色指定、そこにどんな色を置くのか、全体のバランスが取れるかどうか。
細かい技術はさておき、基本的にはこれができるかどうかが
クオリティの一番大きな部分をしめていると思います。
ごちゃごちゃっとして、ものすごい色使いをされつつも、
しかし全体として筋が通っている絵師さんというものは、
色彩感覚だけではなくて、立体を捉える技術も持っている
からこそできるものだと思います。
(たまに例外的にデッサンできねえのにものすごい絵を書く
天才肌の人もいますが、そういうのはよく分かんねえw。)
3Dなのに無理やりアニメ調にする技術あるじゃないですか。
私はそういうのを意識してます。これ参考になるのか良くわからんが。
それと立体感覚はある程度わかってしまえば、
あとは原画の技術次第というか。
線の段階での仕上がりに寄る部分が大きいですね。
もちろん、極めようとすればこの影指定も奥が深いのですが、
そこそこに見える絵を書くためならば
影の指定は10人やったらだいたい10人同じような影指定に
なるような気はします。ある程度なこれ。
(薄い布とかは情報量多いので、これかなり別れる気がします。)
色指定は最終的なゴール地点をどこに設定するのかで
かなり変動します。
例えばそこは昼なのか、夕方なのか、夜なのか、とか。
肌は白いのか褐色なのかとか。
ベースカラーの設定は絵の基本的な方向性によって
がらっと変動するので、ここが一番大事かもしれません。
そして一段目の影、これが絵師のスタイルによって最も
変動する場所だと思います。
ベースカラーにそのまま灰色を足し算したり、
ベースカラーの補色を入れてみたり(あんま見ないけど)、
ここも絵の雰囲気ががらっと変わる場所だと思います。
ここで強い色を入れますと、画面がばしっと強くなりますし、
淡い色をいれますと、優しく綺麗な感じになります。
この業界ですと、やぱり画面に華やかさが欲しいですから、
ベースカラーには淡い色を。
そして、一段目の影にはそれには淡い青を乗算した強めの色を
入れることによって、画面に華やかさを出す場合が多いようです。
ベースカラーと影に明度差、そして彩度差を出すことによって、
メリハリの効いた画面に仕上がります。
そして、色相に加える淡い青の乗算は、ナチュラルな影の
つきかたでして、詳しくは目の仕組みや、色彩論、そういうので
なんとなくわかったような気になります。たぶん。
ちなみに、ハイライトには黄色の成分を足した明るい色を
選ぶことによって、自然な明るさになります。
で、これが基本編。
絵師としましては、こっから勝負です。
このアニメ調のイラストはどうしても情報量が乏しく、
動画としてならば良いのですが、一枚絵として見ますと
やはり少々物足りなさを感じるところです。
なので、影指定をぼかします。
そこがまずアニメ絵とギャルゲ絵の差と言われる場所でして、
影指定のエッジを若干ぼかすんですね。
現実的にはなめらかなグラデーションである色調変化を、
ベースカラーと影1で二色で塗り分けるのがアニメ塗り。
そこから逆走しまして、今度はその色差をなめらかにするのが
ギャルゲ塗りと言われるものの真骨頂だと思います。
これによって単調だった画面に変化が生まれ、
イラストに厚みが増し、自然な印象になります。
また、影指定をぼかさずに、ベースカラーなどに
グラデーションを重ねるやり方も最近増えてきました。
影指定をぼかしますとどうしても画面の切れ味が落ちますし、
コントラスト的にものっぺりとした印象を与えがちです。
また、イラストに撮影効果(ぼかし、とばし等)や、
差分での強い光演出(覆い焼きツールなどでの発光など)
を行うときにはこの方法は便利です。
エロゲでは特に肌の質感は重要ですから、
肌はしっとりとしたグラデーションを効かせ、
その他のものはある程度のエッジを効かせたまま使う
という手法もあったりしますね。
これらはいずれも手間をかけずに、かつ誰でも塗ることができる、
というスタンスのもとに出来上がった手法だと思います。
デッサンでよく見るなめらかな布のような表現は、
どうしても塗師の技術が必要ですし、
全体のクオリティを揃えなければならないという条件下で、
ゲーム内に組み込むというのは、なかなか難しいみたいですね。
そしてさらに踏み込みますと、反射光や、影2の使い方、
絵筆のタッチによる印象、テクスチャの使用なんかもあるのですが、
そこまで行くともう個人のやりかたですし、正直手に余るので
それぞれが自分のやりたい絵柄を探していく、というような
感じになるのでわなかろうかと。
うちは良くも悪くも、全部私が線画をやって色を塗っていたので、
ある程度の無茶というか、あほなこともやってきたんですが、
まあ、それを踏まえてのゲーム制作における「塗り」という話でした。
あと大事な話としましては、
500%以上の拡大はほとんど意味がない。
これ、実はめちゃくちゃ大事なことです。気がつくのに5年かかりましたが。
300%と言い直してもいいかもしれない。
とにかく広い視野でやらないと、どうにもならない部分というものはあって、
レースやらフリルやら細かい場所は、もちろん描き込めば描き込んだだけ
頑張ってくれるのですが、労力には見合わないぞ、と。
細かい場所は、本当に全体が仕上がってから、最後のお楽しみぐらいの
気持ちでやらなければ、きっと悲しい修正時間がやってきます・・・涙。
とまあ、基本的なところで、どこまで役に立つのかわかりませんが、
誰かの役に立ってくれればいいなぁぐらいの気持ち。
まだまだ道半ばの身といおうか、半端な身の上ではありますが、
10年前の自分に言い聞かせたいことはこのぐらいだと思います。
そもそもその頃、絵なんて描いてなかったのですが。まあええやん。
てなわけで、コミケ前の夜。 今年もありがとうございました。